社員に子供が生まれ、お祝いを渡しました。その時、彼は目に涙をためて「名前を遥(ハルカ)にしました」と力強く言いました。
今から2年前、彼に第一子が授かりましたが、その子は両親に元気な産声を聞かせることなく小さな命をとじました。初めての子供、それも結婚してから5年目にやっとできた宝物でした。
彼と奥さんは悲しみにくれる間もなく、厳しい現実を突きつけられます。流産でなく、一旦母体から出てきて息をしていたため、役所への届出の手続き上、亡くなったその子に名前を付けなければならないのです。
一度も抱くことができなかった子供に命名しなければならない彼と奥さんの気持ちは、いかばかりのものだったでしょうか。
その苦難を乗り越え、先月待望の子供が生まれたのです。彼が「名前を遥にしました」と叫んだその言葉は、おそらく彼にとって勝利宣言だったと思います。
わが子を虐待するニュースが日々報じられている中、きっと遥ちゃんは愛情一杯に育つことでしょう。