私が所属する団体にロータリークラブという奉仕団体があります。年寄りの昼食会だと揶揄されることもありますが、このクラブは、奉仕を旨とした活動を展開しており、今では世界140カ国以上、100万人を超す会員を擁する大きな組織となっています。
最初はアメリカのシカゴで、ある青年弁護士を中心に職業の違う4人の仲間が、親睦と友愛を深め、心温まるそして気の許せる友の輪を広げたいというところから始まったものですが、やがて会員も増え、組織的な活動ができるようになり、それぞれの職業を通じて社会に奉仕すべきではないかと組織の性格を明らかにして今日に至っています。
この大きな組織が、ロータリークラブの名の下に、世界中で奉仕の理想を求めながら活動するためには、共通の方向性とか理念を持たなければなりません。ロータリーの綱領に始まり、「理念」「使命」「指針」「標語」等々ありますが、それらを端的に表し、活動の倫理的羅針盤となっているのが、「4つのテスト」というものですので、ここに紹介します。
1.真実かどうか
2.みんなに公平か
3.好意と友情を深めるか
4.みんなのためになるかどうか
(言行はこれらに照らしあわしてから)
簡潔さの中に深い意味を包含するこのテストは、もともとロータリークラブの会員の会社で実際に使われていたもので、事の大小にかかわらず、諸事決定を下す際の基本となりました。
真実かどうか・・・真実は不変であり、時代を超越するものです。真実は正義なくして存在し得ません。
みんなに公平か・・・激しくやりあう競争社会の中で、公平さを取り入れたビジネスは、お互いの関係を傷つけるよりも、その関係向上に役立つものとなります。
好意と友情を深めるか・・・人は生まれながらにして、他者と協力して生きていく存在であり、愛情を示すことは生来備わっている本能です。
みんなのためになるかどうか・・・この項目は、無慈悲な競争を排除し、代わって建設的で創造的な競争を導入するものです。
4つのテストは、国家という枠を超え、国境や言葉の障壁を超越するものですし、いかなる形であれ人生を成功に導くための要素を含み持っています。ロータリークラブへ導入してからも半世紀以上続いているこの指標は、緊張と混乱と不確実性に満ち溢れた今の社会でも有効性を保持し、かつ実効性のあるものと思われます。変革の時代といわれる今、変わることの大切さと勇気も必要です。しかし一方、いつの時代にも通用する不変のものも存在することは事実です。そして最終的なテストは、実際に行動することにあります。
テストの答えを出すのは、あなた自身です。
カモ井加工紙株式会社
鴨井尚志