佐治敬三(サントリー二代目社長)に学ぶ
父親が創業した「寿屋」を継ぎ、総合飲料メーカーのサントリーを育て上げた。先代の遺産を受け継ぐだけでなく、どう昇華させたのか。佐治敬三の真骨頂に迫る。
佐治が42歳を迎えた61年、父親の後を継いで社長に就任する。良き時代にバトンタッチした佐治が、自分の心を引き締め、会社全体の空気を緊張させるために挑んだのが、ビール事業の立ち上げだった。
●一定の勝ちパターンに安住せず
会社を引っ張っていく時、うちはまったくの健康体だと自信を持ち過ぎるのは良くない。どっかおかしいのと違うか、自分のやってることは、ひょっとしたら間違うてるかもわからんで、という危機感があった方がいいんじゃないでしょうか。
ウイスキーだけをやっておった時、作れば売れていきよるという自信満々の時期があったんです。でも、それではどこか神経が伸びきってですね、かえって大きな弱点となる危険性がある。それでビールを始めたんです。
非常に難しい仕事に挑戦することで、一種の危機感が社内に出てきました。よく一病息災と言いますが、あれと同じことかもしれない。社内に新たな活力が湧いてきました。
カモ井加工紙株式会社
鴨井尚志