ある雑誌のコラムに載っていた文章を紹介します。
「言い訳」がテーマですが、自分にも思い当たる節があり、読んでいてドキッとしました。
言い訳を列挙していると、やがて「できない」という信念を自分に植えつけてしまう恐れがあります。
皆さん、ご注意を!

 訊かれてもいない言い訳をすることほど見苦しいことはない。今年7月に行なわれたゴルフ全英オープンで、30位の不本意な成績に終わった丸山茂樹プロは、その典型であった。
 試合が行なわれたロイヤルトルーンは飛行場の近くにあり、おまけにコース内を列車が通るという特異な環境にある。選手がプレー中であろうと飛行機が飛び、列車が走り、その音がプレーの妨げとなることもしばしばである。
 丸山選手は二日目、この飛行機の爆音でショットを曲げ、リズムを崩した。また、パッティングの最中に列車が通り、これもプレーに影響した。ショットを曲げた瞬間、飛行機をにらみ、列車の音で顔をしかめていた。
 試合後のインタビューでは、「飛行機も列車の音も嫌いだ。あれでリズムが狂った。やりずらい」と一気にまくし立て、さすがにまずいと思ったのか、最後に「まあ、言い訳ですけどね」と反省していた。
 それだけではない。ここ一番の勝負どころでは、じっくり時間をかけるフィル・ミケルソン選手と次の日プレーすることがわかると、「リズムが合わなくてやりにくい」と同じ組でプレーすることを嫌っていた。
 以前、自分のプレーが思うようにいかないコースを罵倒して罰金を取られたこともある丸山選手。今も昔も言い訳のオンパレードだ。ジャンボ尾崎選手も全英オープンを毛嫌いしていた。その理由は、「雨と風と寒さがいやだし、コースも自分に合わな
い」とのこと。 これでは、戦わずして負けており、コースや同伴競技者に対しても非礼この上ない。
 言い訳は、事前と事後の2種類ある。前者はアマチュアに多い。「昨日徹夜でね。
寝てないんだ」「飲み過ぎちゃって。まだ二日酔いだよ」これは結果が悪かったときのことを想定した事前の予防線。後者はプロ選手などに見られる一種の八つ当たり。
自分の未熟さを棚に上げての責任転嫁である。
 どちらにも共通するのは、自信のなさと精神的な弱さだ。そして傲慢さでもある。
「自分は本来こんなものではないのだが、○○のせいで思うようにいかなっかった」
という心理が心の中にある。つまり、現実からの逃避に他ならない。
 しかし、本人が言い訳をすればするほど、周囲はそれを見透かしている。取るに足らない相手であることを自ら暴露しているのだ。言い訳は人として恥であり、マナーとしても最低である。
 世界で活躍し、日本中のファンの期待を背負っている丸山選手だけに残念でならない。 この精神的なものが克服されたとき、彼のプレーが本物になり、栄光を手にできるのではないか。
カモ井加工紙株式会社
鴨井尚志