今回は、「参考までに」というよりも、青年部の総会でお話しましたことを、会員全員の方にに知っていただくのが
良いと思い、投稿いたします。
この話は、自分で結構気に入っているヤツでして、今度「朝礼バージョン」に変えて、社内で話そうと思っています。
(総会での挨拶)
私が中学生のとき、社会科の時間に先生から「地図帳を見てもいいから、香川県を描きなさい」と言われました。
私は四国地方の地図を見ながら、なんとか香川県を描きあげました。続いて先生に言われるままに、徳島県・愛媛県・高知県と描いていきました。その作業が終わったところで、先生は、「今描いた一枚一枚の地図を切り取って、四国全体にしなさい」と言うのです。
ものの見事に先生の策略に引っ掛かり、四枚の地図を合わせてみると、県境がピッタリ合致するような状態ではありませんでした。あるところは大きな隙間ができ、あるところは重なってしまいます。山脈もずれてしまい、川もつながりがなく、鉄道は寸断され、どんな大地震が発生してもこんなにはならないだろうといった代物でした。
私一人だけの作業でなく、四人が別々の県を描き、それをくっつけたのであれば、まだ慰めの余地もあったかもしれませんが、実際は地図帳を横に置き、自分一人で懸命に模写したつもりで描いたにも関わらず、結果として日本中の(恐らく世界中の)どこにも存在しない地域を自分で作ってしまったことに、私は少なからずショックを受けました。
「合成の誤謬(ごびゅう)」という言葉があるそうです。その意味は、部分部分では正しくても、全体では間違っていることを指します。私が中学生時代に経験した上述の地図描き作業はまさに「合成の誤謬」であり、「木を見て森を見ず」のことわざ通りだったと思います。そのときの私は「先生にしてやられた!」という悔しい気持ちしかなく、そのまま見過ごしていましたが、今思えばとても大切なことを教えてもらっていたことに気づきます。
もし私が「香川県を描きなさい」と言われたとき、まず四国全体の面取り図を描いて、その後に山脈の位置や川の流れや鉄道のつながりを頭に入れ、一つ一つの県を描いていったとしたら、「新しい四国」を誕生させることはなかったでしょう。
青年部会員の皆さんは、日々の仕事に励みながら貴重な時間を割いて、地域の活性化を実現するために、あるいは自己を研鑽するために活動しています。イベントを企画・提案し、それについて幾度も議論し合い、周到な準備のもと確実に運営していくという一連の活動は、四国の地図を描く作業と基本的に何ら変わりはありません。
それぞれの委員会がそれぞれの役割を担い、必死になって遂行してくれているだけに、これからも全体のバランスを考えて活動していただければ、個と全体が調和し、青年部の活動に一層の重みと輝きをプラスしてくれると確信しています。
よく報道で「日本も国際社会の一員である以上、いやおうなく全世界との調和を求められる。もう日本のことだけを考える時代ではない」という言葉を耳にします。これからというよりも、今既に人も企業も国も、常に全体のことを視野に入れて、調和を図りながら個々に活動することが求められています。
自分のこと、目の前のことだけでなく、周りのこと総てに気を配り、決して他人事にしない青年部を皆さんの手で作り上げていきましょう!
カモ井加工紙株式会社
鴨井尚志