「時間」がない、忙しい、暇がないと、嘆く者よ、自分が思い描くような人生とは無縁の生活であろう。しかしながら、お前の嘆きは、「私は時に支配され、自分で時間を作る工夫ができない知恵なき愚か者です」としか私の耳には聞こえない。
お前の頭の中に、「知恵を使う」「創意工夫」と言う文字はあるか。私の知る限り、時間の壁を超えることができず、成功者の域に達した人間は一人もいない。
お前は、日々、知恵を絞り、時間を生み出す努力をしたことがあるか。創意工夫に努め、己の力で時間を増やそうと心掛けたことがあるか。時間は自らが支配し、自らが作り出すと言うことを理解できるか。できないであろう。
愚か者よ、お前は、時間に人生そのものを支配され、実りなき人生を費やすがよい。思い通りの人生を生きたければ、知恵を振り絞り、時の次元を超えてみよ。創意工夫を心掛け、自らが時間を支配してみよ。しかし、時の次元を超えるは、そう容易なことではない。
おまえにそれができるか。難しいならば、まずは、「忙しい」と嘆くことを今から止めよ。忙しいのは誰の責任でもない、知恵なきお前の責任なのだ。
「時間」なき愚か者に捧ぐ。
今回もたいへんに厳しい教訓です。仕事や時間に追われている時は、「忙しい、そんな暇はない」とつい口走ってしまうことがあると思います。言葉に出さないまでも、そう思った経験は、誰しも心当たりがあると思います。
忙しい状態に自ら追い込んでしまうのも自分自身であり、その状態を改善しようとしていないのも自分自身です。
その責任を他に転嫁し、「忙しい」の一言で逃げようとする甘い心を見透かし、一喝を入れる誠に厳しい言葉です。
我が会員の二宮辰哉氏が以前教えてくれましたが、彼いわく「重要な仕事とか急ぎの仕事は、忙しい人間に頼むことにしている」とのこと。その真意は、忙しくしている人間ほど、時間の取り扱い、処理、管理、手際が良いので、仕事をうまくこなし、ちゃんと相応の成果を収めるからだそうです。逆に暇を持て余している人間は、「時間の管理ができていない=仕事の管理ができていない」ことの証ということになります。
確かに、時間をうまく管理できるからこそ、仕事も能率よくできるわけで、そこにはウィスラー氏のいう「知恵」と「創意工夫」が存在します。
また、厄介なのは「忙しそうにしている人間」で、「忙しい人」とは、根本的に違います。この類の人は、一見忙しい場面にいて一生懸命仕事をしているように見えるのですが、本来その人がなすべき仕事でなかったりすることが多いということがあります。「自分は忙しくしているのだから」と自分に言い聞かせ、実際には責任から逃避しているのです。
時間は、万人に与えられた平等なものだけに、反面自分だけの都合に合わせてくれません。ならば、それをいかに上手く使うかが、人生の良し悪しに大きく影響してきます。知恵と工夫も万人に平等に与えられた能力です。ただ違うのは、時間が有限であるのに対し、知恵と工夫は無限であるということです。

カモ井加工紙株式会社

鴨井尚志