弊社の製造管理者が開発部門との連絡を早く取りたいので、直通電話を増設して欲しいと稟議書をあげてきました。
一見、なるほどと思われる稟議ですが、ここに落とし穴が隠れています。
製造と開発は切っても切れない密接な関係があり、情報の交換は絶対に欠かせません。
しかし、重要で緊急な連絡であればあるほど、当人同士の対峙した話し合いが必要です。
双方が遠く離れているのであればいざしらず、同じ会社同じ敷地内での連絡は、お互いの顔を見て話すのが一番誤解を生じません。まさに「生の声」です。
コミュニケーションの基本は、まず話を聞くことにあり、その前提は「一緒にいること」だと考えます。相手の話を五感で受け止め、共感することが肝要です。
メールについては、もっと怖さを感じることがあります。
連絡や報告に行き違いが生じたとき、「メールを送ったのに・・・」「見ていなかったので・・・」
というやり取りを経験したり聞いたりしたことが皆さんもあると思います。
メールを送る人は、「送ったのだから、読んでいるはず」と勝手に思い込んでしまうことがよくあります。
たとえ相手がメールを読んだとしても、電話であれば、まだ声の表情で察知できるものがありますが、メールの場合画面だけですので、五感を活用しようがありません。
メールを送る側の責任、メールを受ける側の責任をお互いに持ち合わせていないと、危険な道具になってしまいます。
メールを受けた人は、せめて「了解しました」とか「報告有難うございます」とかのメッセージを返信することがマナーではないでしょうか。

便利な道具に頼りがちな昨今、その利便性に甘えてしまい、つい陥ってしまう落とし穴に注意したいものです。

鴨井尚志