今年もテレビで取り上げられていましたが、今から20年前の昭和60年8月12日、日本航空123便が群馬県の山中に墜落しました。
その墜落の間際に、ビジネス戦士の生き方を貫いて「遺書」を書き、妻子に残した人がいました。大阪商船三井船舶神戸支店長・河口博次さんです。以下に、その「遺書」を記します。
「マリコ 津慶 知代子 どうか仲良くがんばってママを助けてください。
パパは本当に残念だきっと助かるまい。原因はわからない。今5分たった。もう飛行機には乗りたくない。
どうか神様助けてください。津慶。しっかりたのんだぞ。ママ。こんなことになるとは残念だ。
さようなら。本当に今まで幸せな人生だったと感謝している」

飛行機が回りながら急降下している座席の上で、どんな思いでこの「遺書」を書いたのでしょうか。河口さんの胸の中を察する時、熱いものが込み上げてきます。
どんなに多忙であっても、妻への感謝、子供への愛情を燃やし続けたビジネス戦士の、戦場で書いた素晴らしい「魂の叫び」です。男の生き方、いや人間の生き方は「かくありたい」と思います。
仕事を愛し、家族を愛し、人間を愛し、自然を愛し、この生ある瞬間を1分1秒たりとも無駄にせず、生きたいものです。
人間は、自分自身を主人公として、常にその人生の一部である「仕事」や「家庭」に燃焼し続けることが大事であると考えます。
仕事以外に自分の本当の人生があるという声をたまに聞きますが、人生の時間をどのように使おうと、人生に手段はありません。総て、人生そのものです。
縁あって生を授かった人生なのですから、他人の目を気にせず、自分が人生の主人公であるという自覚をもって、努力していきたいものです。

鴨井尚志