愚か者への教訓 「知」
「知」に恵まれないと嘆く者よ、知恵がなく、学んでも成績が上がらぬと嘆く者よ、己の頭の悪さを嘆き、親を恨む日々であるか。しかしながら、お前の嘆きは、「私は根気と辛抱強さを持たず、何事も長く続けることのできない、怠け者です」としか私の耳には聞こえない。
お前の頭の中に、「根気」「忍耐」と言う文字はあるか。私の知る限り、根気と忍耐を養わずして、真の実力者となりし者を私は知らない。
お前に、根気よくあきらめることなく学ぼうとする姿勢はあるか。できるまで、理解するまで、何度でも学び返そうとする根性はあるか。怠惰な欲求を断ち切り、学びに集中しようとする克己心はあるか。
ないであろう。
学びし者よ、よく聞け。他人との頭の良し悪しの差など、微々たるもの、真の知力、学力は、根気と忍耐の成す技である。できぬならできるまで繰り返すのみ、理解できぬなら理解するまで繰り返すのみ。
覚えられるまで繰り返す、要は、その根気と忍耐がお前にあるか否かである。
己の頭の悪さを遺伝や親のせいにして、努力を放棄しようとは言語道断。学びは、学力を超えた、人としての力を築く。その大いなる力を、知力、学力とともに身に刻むのだ。
「知」の結果はすぐに現れるものではない。忘れた頃に大いなる利子を伴って、お前の前に姿をあらわす。学びし者よ、あきらめるな。まさに根気と忍耐、「知」の道に近道はない。
「知」なき愚か者に捧ぐ。
さて、ウィスラー氏は、要は「頭の良し悪しではなく、根気と忍耐の有無がポイントだ」と説いています。
勉強ができないうちの子供は馬鹿なのではないか?と思っている親御さんは、この言葉を聞いて少し安心するかもしれません。しかし、この根気と忍耐力こそくせ者です。
根気と忍耐力を持てと言われても、どのようにすれば身に付くのでしょうか?その答えは、簡単に出せません。ただ、明確な目標・目的を持つことが、最初の一歩であることは確かだと思います。目標に向かって突き進み、自分で限界を決めないことで、根気と忍耐力が養われ、やがてそれが知力、学力を超えた真の実力者の基礎を作るのだとウィスラー氏が言っているように思えます。
余談ですが、進学塾の建物の前に生徒を送り迎えする親の車が並んでいる光景をよく目にします。
歩道に車を停めて歩行を妨害する人。2車線道路の1車線を平気でふさいでいる人。そのために交通渋滞が起きてもお構いなしです。親は子供の成績を上げることよりももっと大切なことを教える義務があります。塾も勉強だけ教える場所でいいはずはありません。この先どうなるのか不安です。
鴨井尚志