カー用品店「イエローハット」の創業者、鍵山秀三郎さんが、中国での講演で答えた言葉です。大学生から「掃除のように、誰にも顧みられない小さなことにこだわって、大きなことができるのか」と尋ねられたからです。
鍵山さんは、自動車1台の行商から年商1000億円の企業を作り上げました。しかし、そんな事業の成功物語より「環境をきれいにすれば、人のすさんだ心を穏やかにできる」と信じて、自ら会社のトイレや会社の周りの掃除を長年続けたことで知られています。
鍵山さんは「私は、言葉や文章で説得する能力を持っていないので、掃除を始めました」と淡々と語られます。
宗教とは無関係。社員にも強制したことはありませんが、賛同する人が全国に広がりました。相談役に退いた現在は、求められて掃除の実践と講演に奔走しています。
国のあり方、企業のあり方について語る経営者は多くいますが、身近な無償の行為を続けて「道」にしている人は少ないと思います。
鴨井尚志