中国の「戦国策」という書物に、次のような話があったそうです。
戦国時代、燕(えん)の照王は、人材を集めようとして、自分の所に居候として住まわせている郭隗(かくかい)という人物に、どうしたらよいものか尋ねました。
隗は、「それならば、まずこの私を取り立ててください」 と図々しく要求しました。

その願いは幸いにもかなえられましたが、彼が照王を説得した方法は、自分に素晴らしい才能があると訴えたわけでもなく、恩返しをしたいからといったわけでもありません。
彼は、「私のような者でも大事にしていただけることが知れ渡れば、私より優れた人物が競って集まってくるでしょう」と照王に提案したのでした。

隗の提案は、ある種の詭弁かもしれませんが、機知に富んだ売り込み方です。
自分を売り込むのに、鼻につく自慢をすることが逆効果になることを知っていたのでしょう。
また、照王も人物を見抜く確かな目を持っていたからこそ、隗のユニークな論法に才能の芽を感じたのだと思います。
最初、隗に相談した時点で、隗が認められていたとも思えますが・・・。
「隗より始めよ」 の言葉の意味は、 「事を始めるには、まず言い出した当人から始めよ」とか「手近なことから始めよ」と辞書にはありますが、この故事にはもっと深い意味が込められているんですね。