「愚直こそパワー」。モノづくりのメッカ・名古屋の企業経営者に、そんな考えが目立つ。
最近の耐震データ偽造問題やライブドア事件のためだけではない。江戸時代から続く「名古屋商人の根本精神」だそうだ。 昨年来の名古屋経済への高い評価で裏付けら
れた点も大きいという。
そんな企業風土は、 人材育成から生まれたようだ。「 モノづくりと人づくりの間には、双方向の因果関係がある。つまり、愚直にモノを作ることが愚直な人づくりに役立ち、
企業のパワーも培う」。2月の中部財界セミナーで、講師がそう説いた。社長の一人は「名古屋では城山三郎さんの小説『粗にして野だが卑ではない』のような人間が評価さ
れているからね」ともらした。
「日本一元気」な名古屋経済の強さを突き詰めると、マンパワーに行き着く。「どんなに製作能力が高くても、人格の優れない人はリーダーにしない」という企業も少なくない。
結局は人の問題だ。名古屋経済の輝きで「愚直」も輝き、品格にまでつながっているように思えた。