あるメーカーの社長が、昼夜を問わない携帯メールでの事故報告を各部長に求めました。続けざまに多発する工場内のトラブルを何とかしたいという思いからです。
タンクから重油が漏れた。社員が機械で指を切った。操業トラブル等々。その数は、1日あたり軽く10件を超え、深夜もメールが届きました。
真夜中に上司を起こすのは誰でもためらいます。しかし、その社長は必要な報告が上がらないことを恐れ、「おれは寝ようとは思っていない。とにかく何かあれば、すぐに連絡しろ!」と怒鳴ったこともあるそうです。
社長は、すべてのメールに指示を返したため、半年間ほど極度の寝不足が続きました。「現場のトラブルがすぐに上に上がらず、上げるシステムもないのが最大の問題」。そんな意識の変革が浸透し、トラブルは確実に減っていきました。
学ぶべきは、幹部が先頭に立って奮闘する姿勢ですが、それでもトラブルをなくせない難しさがあります。それが現実だとすれば、トップが真剣に防止策を考えない企業は…。