ある役者さん曰く「相手役のせりふの内的意味がきちんと聞き取れれば、自分の言葉は自然に口をついて出てくる」とのこと。
つまり、舞台で相手の演技がとても良かったと思うとき、自分も正しく演技ができているのだそうです。
「今日の舞台は我ながら良くできた」などと自分で思うときは、逆にダメだそうです。
この話は、我々の日常における「対話」というものを考えるときにも、深い示唆を与えてくれます。
なぜなら、誰かと「対話」しているとき、次に自分が語るべき言葉に気持ちを奪われ、いま相手が話している言葉に耳を傾けることを忘れてしまうことが多々あるからです。
そして、我々は「相手の共感を得たい」という気持ちに支配され、「相手に共感する心」を忘れてしまうのです。