中国の地方のある村で、干ばつのため雨が降らず、村人が困っていました。
そこで、村人は有名な「雨降らし男」を呼んできて、雨を降らしてくれるように頼みました。

すると、その男が小屋をつくって篭ったところ、三日目に雨が降り始めました。
その雨に村中が大喜びし、お礼を言うと、その男は答えました。
「あの雨は、私が降らしたのではない。この村では、天の秩序に従って村人が生きていなかった。そのため、雨が降らなかったのだ。そして、その影響を受 け、この村にやってきたとき、私も天の秩序に反する状態になった。そこで私は三日間小屋に篭って、私自身が秩序の状態になるのを待った。すると自然 に雨が降ってきたのだ」。

この話は、東洋的な神秘の物語にも読めますが、実は、我々が、職場などにおいて、しばしば経験していることではないでしょうか。職場におけるメンバーの心の和が乱れてしまったとき、すべてがうまく動かなくなるときがあります。人のせいにしたり、機械のせいにしたり、材料に文句をつけてみたり、何もかもがギクシャクしてしまいます。
しかし、そのとき、何にも働きかけず、ただ、その中心にいる指導者が、心の静寂を取り戻すだけで、その職場に心の和が回復し、物事がうまく動き出すことがあります。